安心して就農できる「これからの時代に合った農業経営」を目指して

鈴木りんごCO.(株) 代表取締役 鈴木健悟さん


就農してからの技術を蓄積、次の時代へつなげていくための「企業化」

2018年2月に「株式会社鈴木りんご」を設立、いちリンゴ農家の職人から経営者へとなった鈴木さん。
就農してから10年過ぎた頃から、自身の求める「美味しいリンゴ」が作れるようになると、固定客もつき、その口コミから毎年注文量が増えていった。生産量が注文量に追いつかなくなってきたことが、企業化を考えるきっかけとなった。
両親と3人でリンゴ作りをしてきたが、簡単には生産量は増やせない。やむを得ず販売をお断りするにも、最初は事情を説明して個々にフォローが出来ていたが、その人数も徐々に増えていき、鈴木さんが心がけていた「+αの部分」が出来づらくなってきたという。
「母親が体調を崩したりしていたころでもあるが、事業として拡大していくことを考えた時に、新しい農業機材を買うにしても、きちんと収益を把握しなくてはならない。ちょうど良い機会でもあるし、株式会社にして会計の面からもきちんとしようと思いました」と鈴木さんはいう。

これからスタンダードになる農業の形として

就農者の高齢化が進む中「今までは、他の人ができない技術を持っていることが良いことだったが、自分にしかない技術ではだめ。それを次の段階として、誰が作っても同じクオリティが保てる技術に変えていきたい」と考えた鈴木さん。
リンゴ農家として会社組織にし、事業を拡大していきたいと考えていた鈴木さんにとっては、「同じ意思を持って働いてくれるスタッフがいてくれたら・・・、という思いもあった」という。
これまでの農家は家族経営で、朝日が昇ってから日が暮れるまで畑に出て作業をする。良くも悪くも「それが農家」という時代の流れやスタンスだった。
「だが、これからの時代はそれを許さない」と鈴木さんは断言する。
朝は8時半に畑に出て、夕方5時には家に帰る。それは手を抜くということではなく、家族と過ごす時間や自分の時間も持てるようになるということ。
「普通の会社員と同じように、退職金や厚生年金の制度がある。将来の不安なく仕事ができるという事が本来の姿であり、それが農業でも実現できるようにこれから取り組んでいけたら、若い人たちも農業の世界に飛び込んできてもらえるのではないか」という。
「農業は高森町の基幹産業の大きな部分を占めている。この取組みがうまくいけば、他の農家さんも真似をしてくれるかもしれない」
そこには、鈴木さんの「次世代のために、今自分ができること」という熱い思いがベースにある。
「現在小学4年生の息子が進路選択の時に、『親父のやっている農業もありかな』と思って貰える、農業を職業の選択肢の一つにしてもらえるようになれていたら成功したと思えるのでしょうね」

異業種の方々、経営者の方々との交流、そしてたかもり熱中小学校。

美術に興味があるスタッフが考えてくれた会社のロゴ
これまで自分一人でやってきた畑での作業など、信頼できるスタッフに任せられることで、今まで優先順位を下げがちだった「未来のためにやりたかったこと」が出来るようになった鈴木さん。
「農家は、外の世界に出て色々な業種の方と知り合う機会がなかなか無い。企業化したからこそ、安心して外へ出て勉強することができる。方向転換のチャンスだと思いました。研修会なので得たものを会社に還元でき、次につなげられる。一人でやっていると、時間がないからと言って、外へ出ていく時間も無ければ進化もない」という。
他業種の経営者や違う視点を持った方々と会話をする、研修を受けたりすることで、色々と勉強になることがある。
「たかもり熱中小学校は、これから経営者として会社を運営していくことで大事なことなどが学べる絶好の場所」と期待を込める。
「ステップアップのための企業化。不安もあるが、やってみたいことも沢山ある」という鈴木さん。新しい形の農業スタイルの旗振り役となり、高森町を盛り上げていくことでしょう。

美術に興味があるスタッフが考えてくれた会社のロゴ

【鈴木りんごCO.】 代表取締役 鈴木健悟
高森町出原512-179
090-8329-5253
enjoy@suzukiapples.co
取材先:鈴木さんのご自宅

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「もういちど7歳の目で世界を」をキャッチフレーズに日本全国へ展開を続ける大人の社会塾、熱中小学校。長野県内、また中部地方でも初の熱中小学校として開校したのが、私たち「信州たかもり熱中小学校」です。